発売後の評価

2000年の発売開始当時、すでに世界での出荷台数の累計が7000万台を超えていたプレイステーション用のソフトウェアの大部分をそのまま利用できるというハードウェアの上位互換性はゲーム専用機として画期的であった。旧来ユーザーはプレイステーションのゲーム資産がそのまま引き継げること、新規ユーザーはプレイステーション2だけ購入すればプレイステーション用ゲームも遊べること、ゲーム開発者はプレイステーション用ゲームを引き続き製作してもソフトウェアの売り上げに響かないなど、大きな利点があった。

もっとも、ソフト開発が難しい仕様である上、当初は十分な開発ツールが提供されなかったため、良質なゲームソフトが出揃うまで時間がかかった。一方で、プレイステーションとの互換性とDVD再生機能および『グランツーリスモ3』や『鬼武者シリーズ』や『真・三國無双シリーズ』など人気ソフトの好調により、ハードの売り上げは常に好調を維持した。ただし、ハ−ドウェア面での製作上のハードルが上がったことにより、製作本数は減少し、ゲームソフト市場規模がバブル崩壊等も重なり減じているため、ハードウェアの設計を非難する向きもある。

なおゲーム機の上位互換性はプレイステーション2独自のアイディアではない。セガ・マークIIIでは従来のSG-1000/SC-3000用ソフトもそのまま使用可能で、メガドライブでは周辺機器メガアダプタを装着する事によってセガ・マークIIIのソフトをプレイすることができた。また、ファミリーコンピュータに対するスーパーファミコン、セガサターンに対するドリームキャストでも開発当初は上位互換性を持たせようとしていたが、それらは「採算が合わない」あるいは「旧来機の売り上げが落ちて結局は収入減に陥る」といった懸念により仕様破棄されることになった経緯がある。プレイステーション2ではそれらの懸念を杞憂に終わらせる成功を収めたのである。